フルマラソンで2時間40分を切るためには、1㎞あたり3分47秒で走る必要があります。後半の疲れを考えると、基本のペースは3分40秒。スタミナだけでなく、スピードも求められますね。
私は2017年の鹿児島マラソンで2時間40分切りを達成(2時間38分)しました。そこまでの練習方法を紹介します。
目次
サブスリーから1年4か月で2時間40分切り
中学から13年間バスケをやるも、ふと出場したトレイルランの大会で走ることのとりこに。もともと凝り性で毎日のように走っていると、1年半でサブスリーに到達しました。
この頃から、本格的に記録を狙って練習メニューを組むようになっていきます。サブスリーは1㎞あたり4分15秒ペース。しかし、2時間50分切り、そして2時間40分切りのためには3分台で走る必要があります。
感覚的に、3分台は別世界。速いスピードで体を動かし続けるためにはどうしたらよいかをひたすら考えました。
川内優輝選手を参考に
練習方法を考えるにあたって最優先したのが「効率」と「ケガをしないこと」。調べに調べていきついた先は、川内優輝選手の練習方法でした。
強度の高いポイント練習は週に2回で、あとはジョギングで疲労抜き。この考え方を軸にして自分に足りない力をつけるメニューを組んでいきます。
週1スピード、週1スタミナ
週2回のポイント練習はスピードとスタミナの二本立て。
1㎞3分台で走るにはスピード不足を感じていたのでインターバルを採用しました。苦手な練習だけどここは我慢。インターバルのやり方はつぎの項で紹介します。
速いスピードを持続させるためにはベースのスタミナももちろん肝心。ロードで長い距離を走るとケガのリスクが高いため、トレイルでの3時間走に取り組むことにしました。
これに加えて月に2回はトレイルやロードのレースに出場。実力以上の力を出すことで肉体を追い込みます。
インターバルはゆっくりめで
インターバルは「ゼエェハアァ」と荒い呼吸で苦しい思いをする練習ですね。私はこれが嫌でした。当時の私の走力だとインターバルは1㎞3分20秒くらいが相場だと思いましたが、「無理だ…」と断念。
継続するのが大事と考え、「1㎞3分30秒×6本」を基本メニューに設定。ペースを遅くする分、セット間の休憩を200mあたり60秒かけてのジョグにして心肺に負荷をかけ続けることにしました。
1週間の具体的練習メニュー
・月 休み
・火 ジョギング90分
・水 インターバル(1㎞3:30)×6+5㎞ジョグ(クールダウン)
・木 ジョギング60分
・金 ジョギング90分
・土 トレイル3時間走(実力の7割~8割のペース)
・日 ジョギング120分
週2回のポイント練習は集中して行い、残りのジョギングは疲労抜きを目的に1km6分ほどのペースでゆったりと走るのが肝です。
サブスリーから1年で2時間41分
スピード・スタミナの2本立て練習を軸にして取り組んで迎えた、2016年11月のつくばマラソン。目標は2時間40分切りのため、スタートから1㎞あたり3分40秒で刻みます。
インターバルの成果か、1年前より1㎞あたり30秒も速いペースながら余裕あり。「もしやいけちゃうのでは…」と期待が高まりました。
しかし、それほど甘くないのがマラソンです。定番の35㎞の壁に阻まれて減速。必死で粘るも2時間41分でフィニッシュ。
2時間40分は切れなかったものの練習の方向性が間違っていないことは確認できました。あと1分を削り出すためにどうしたらよいか、また考えることに。
レースは最高の練習
ここで、再度川内優輝選手を参考にしました。
チームに所属していない自分が高強度の練習をやるにはレースが一番。毎週のように10㎞やハーフのロードレース、トレイルレースを走ることでさらなるレベルアップを目指します。
レースを中心にしたことで、ケガのリスクが高まるのでインターバルはやめました。レースで集中して追い込み、あとの練習はジョギング中心に切り替えています。
本命レース1週間前からテーパリング
2時間40分切りを狙う本命レースは2017年3月上旬に開催された鹿児島マラソンに決めました。レースを多く走り疲れがたまっていたため、1週間前からは軽いジョグだけの練習に変更。
ここで徹底的に疲れを抜いたことが当日の調子の良さにつながることに。
2時間38分で完走
そして迎えた鹿児島マラソン2017。目標はもちろん、2時間40分切り。
スタート直後から、体の軽さに驚きます。10㎞やハーフのレースで1㎞3分30秒のペースで走っていたためか、1㎞3分40秒のペースがゆっくりに感じる。ちょっと気を抜くと3分30秒までペースが上がるため意図的に抑えながら走りました。
ハーフの通過が1時間16分。完全なるオーバーペースなものの、体は軽い。「どうなっちゃったんだ俺の体」と思いながら先へ先へと進みます。
残念ながら、最後まで快適にとはいかず。ラスト5㎞は1㎞あたり4分30秒近くまでペースが落ち苦しい時間になりました。それでも、序盤の貯金があったので余裕をもって2時間40分切りを達成。
フィニッシュ後は精根尽き果てて呆然。しばらくしてから喜びがひしひしと押し寄せました。
無事これ名馬!
2時間40分切りを目指す時の一番のリスクは「ケガ」。
市民ランナーにとってはギリギリのペースになってくるため、普段の練習もどんどんハイリスクなものに進みがち。しかも、すでにサブスリーの走力がある人が目指すので、苦しい練習にも耐えてしまうことでしょう。
そこで突き進んでしまうと待っているのはケガ、長期休養、最悪の場合走れなくなります。あくまで趣味と気楽に構えて取り組んでいる方が、効率的な練習ができて結果もついてきますよ。
私も「無事これ名馬」をテーマに走り続けています。