陸上短距離走のおすすめ練習法

陸上短距離走のおすすめの練習方法10選【中学生・高校生必見】

更新日: 著者:RUNNAL編集部

陸上短距離走が速くなるためには、毎日の練習方法が重要です。短距離走には、スタートダッシュ区間とトップスピード区間、スピード維持区間の3つの区間があり、それぞれの区間を強化するためのトレーニングをバランスよく実践することで、短距離走におけるタイムをグッと縮めることが出来ます。今回の記事では、陸上短距離種目(100m・200m・400m)を専門にする中学生や高校生向けに、走力を高めるおすすめの練習メニューを紹介しています。SD(スタートダッシュ)やテンポ走、マーク走など様々なトレーニングメニューを紹介しています。もっと短距離が速くなりたい、タイムを縮めたいという人は是非参考にしてみてください。合宿や自主練の練習メニューを何にしようか迷っている人も必見です。

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陸上短距離種目のタイムを縮めるための3つの強化ポイント

スタートダッシュするランナー達

短距離走(100m・200m・400m)をタイムを上げるためには、「スタートダッシュ」「トップスピード」「スピード持久力」の3つを強化する必要があります。日々の練習では、この三つを鍛えることを意識して練習に取り組むことで、試合での自己ベスト更新が近づいてきます。

①スタートダッシュ強化

短距離走ではスタートダッシュを強化することが大切です。特に100mではスタートダッシュに出遅れると、大きくタイムを落としてしまうので、スタートを速くすることは欠かせない。陸上競技を始めたばかりの人は、スターティングブロックを使ったクラウチングスタートに慣れてなくてスタートが遅いという人が多いですが、しっかりと練習でスタブロを使ったスタートに慣れることが大切です。

②トップスピード強化

短距離走のタイムを縮める上で一番重要となるのがトップスピードの強化です。100mではスタート50mから60mあたり、200mではコーナーを抜けて直線に入ったところでトップスピードを迎えます。このトップスピードが速ければ速いほど、後半のタイムの落ち込みが少なくなるので、良いタイムを出すことが出来ます。

③スピード持久力強化

短距離走の後半は、いかに速いスピードを維持出来るかが大切です。特に200mや400mでは、スピードを保つ能力が低いと後半で失速してしまい良いタイムを出せません。「後半に伸びる」走りかたが出来るように、基礎的な体力とともにスピードを維持する能力も鍛えておきたいところです。

陸上短距離走におすすめの練習メニュー10選

①SD(スタートダッシュ)

短距離走のスタートダッシュをする選手達

  • 30mx3~5本
  • 60mx3~5本

短距離走の一番定番となる練習が「SD(スタートダッシュ)」です。スタートダッシュは、試合同様にスターティングブロック(スタブロ)を使って、ピストルの合図とともにスタートを切り、30~60mの短い距離を走る練習です。この練習の目的は、「スタブロに慣れる」「音への素早い反応を養う」「加速力を身に着ける」といったところ。

30mの短いSDは、特に短距離走の加速力を鍛えるのに効果的です。短距離走は、大きく「1次加速(0~30m)→2次加速(30~50m)→トップスピード(50m~60m)→スピード維持(60m~100m)」の4つの曲面に分けられますが、30mSDは一次加速の強化に効果的。さらに距離を伸ばした60mSDは、二次加速の強化に効果的です。日々の練習では、30mSDと60mSDと違った距離に取り組むことで、スタートからトップスピードに乗るまでの短距離走の前半部分の速さを向上させることが出来ます。

スタートダッシュの練習に取り組む際は、しっかりと重心を落とし低い姿勢でスタートを切ることが大切です。スタートからすぐに上体が起きてしまうと、上手くスピードに乗ることが出来ません。イメージとしては、前傾姿勢で体が前に倒れる力を利用して前へと進んでいくイメージです。

②加速走

トラックを走るスプリンター

  • (10m+30m)x3本
  • (10m+50m)x3本
  • (10m+80m)x3本

短距離走で良いタイムを出せるかどうかを決定づけるのが、スタート50m~60mあたりで訪れる「トップスピード(最大速度)」。このトップスピードを鍛える定番の練習が「加速走」です。加速走は10~20mほどの助走を設けて30~100mの距離を全力で走る練習です。いきなり50mを全力で走るよりも、10mほどの助走区間を設けた方が、より速いスピードを出すことが出来るので、加速走はスピードの最大出力を高めるのに効果的です。

100m走では100mより短い距離を走ることで、トップスピードを鍛えることが出来るので、全力で走る距離は30mや50m、80mといった距離がおすすめ。200mの練習なら100mでも良いし、400mの練習なら150mでも良いです。また、この練習は距離が長いほど、スピードを維持する能力を鍛える練習にもなるので、後半に弱いというスプリンターは、距離長めの加速走を重点的に取り組んでみると良いです。

③テンポ走

テンポを上げていくスプリンター

  • 100mx3本
  • 150mx3本
  • 200mx3本

短距離走の走る動き作りとして、効果的なのが「テンポ走」。テンポ走は、100~200mの距離を全力ではなく、80~90%の力で走る練習です。短距離走を速く走る脚力を鍛えるのではなく、短距離走を速く走るためのフォームをチェックするための練習。スプリントドリルなどで身に着けた動きを、実際に走る中で再度確認するという位置づけの練習です。中学校や高校で初めて陸上競技に取り組む人は、このテンポ走で、しっかりとフォームを固めていきましょう。また、中級者・上級者の人も日々テンポ走でフォームを修正したり、再確認したりすることは非常に大切。

④スレッド走

パラシュートを引っ張って走る人

  • 30mx3本
  • 50mx3本
  • 80mx3本

タイヤを引いたり、そのほかの重りを引いたり、パラシュートを引っ張ったりしながら走る練習をスレッド走(牽引走)と言います。スレッド走は、短距離走の爆発的なスタート時の加速力と50~60m程で訪れるトップスピードを強化する効果があります。

距離が短め(30m)のスレッド走はスタート時のダッシュ力、距離が長め(50m~100m)のスレッド走はトップスピードに乗るまでの加速力とトップスピード、スピード維持力を鍛えるのに効果的。基本的には、30mの距離で取り組み、スタートダッシュ力を鍛える目的で取り組むのがおすすめです。

⑤坂ダッシュ

坂道を駆けのぼる人

  • 30mx3本
  • 50mx3本
  • 80mx3本

短距離走の加速曲面(0m~50m)を鍛えるのに効果的な練習が、「坂ダッシュ」です。坂道を駆けのぼることによって、股関節やお尻の筋肉(大殿筋)もも裏の筋肉(ハムストリング)を効果的に鍛えることが出来ます。これらの筋肉は、スタートからトップスピードに乗るまでの加速区間で爆発的な加速力を生み出すのに欠かせない筋肉。傾斜のある坂道で走ることで、体の後ろ側の筋肉を効果的に鍛え、素早く初速を得られる体を作ることが出来ます。

また、坂ダッシュは体力を向上させる目的もあります。特に冬季練習では坂ダッシュをすることが多くなります。坂ダッシュをして体力を養うことで、これからタイムを向上させるための厳しい練習にも耐える強い体を作っていくことが出来るのです。まだまだ陸上部に入りたてで体力がないという短距離走の選手は、練習に耐えうる体力を作る意味で坂ダッシュに取り組んでみると良いでしょう。

⑥マーク走

芝生の上にマーカーコーンが置かれている

短距離走を速く走るためには、足の回転数であるピッチを上げることが大切。そのピッチの向上に効果的な練習が「マーク走(スティック走)」です。マーク走(スティック走)は、マーカーコーンやスティックを足を着く場所に目印として置きます。普段のストライドよりも少し狭めの間隔に目印を置いて走ることで、素早く脚を回転させる感覚を身に着け、ピッチを引き上げることが出来ます。また、逆にストライドを伸ばしたいという場合は、普段のストライドよりも広めの間隔に目印を置いて走ることで、ストライドを伸ばす感覚を身に着けることが出来ます。

ウェーブ走

陸上競技トラックのカーブ

  • 150m(50m加速→50mリラックス→50m加速)
  • 300m(100m加速→50mリラックス→150m加速)
  • 400m(100m加速→50mリラックス→250m加速)

後半でも伸びる力強い走りを鍛えるには、「ウェーブ走」が効果的。ウェーブ走とは、ペースを上げ下げする練習で、1本の中で加速して走る区間とリラックスして走る区間を繰り返す練習です。この練習に取り組むことで、200mや400mで後半に失速してしまうのを防ぎ、後半でも「粘れる」「伸びる」走りが出来るようになります。もちろん、100mでも同じように後半のスピードを維持する能力を鍛えることになります。

120mウェーブ走に取り組む場合は、最初の40mは加速し、次の40mはリラックスして走ります。そして最後の40mのところでギアを入れ替えて再び加速します。また、300mなら「100m加速→50mリラックス→150加速」、400mなら「100m加速→50mリラックス→250m加速」といった形で取り組んでみましょう。

⑧セット走

陸上競技場のタータントラック

  • 150m+50m+50m
  • 300m+200m+100m

短距離走のスピード維持力、トップスピード、加速力とバランス良く鍛えられる練習が「セット走」です。セット走は距離の違うダッシュを100mウォークでつなぐ練習です。100m、200mの短短パートの選手は「150m→50m→50m」という設定、400mの短長パートの選手は「300m→200m→100m」という設定がおすすめ。後半へと走る距離を短くすることで、後半でも速いペースで走れる力を鍛えることが出来ます。また、体力を強化するという意味合いもあるので、鍛錬期の練習としておすすめです。

⑨オーバースピードトレーニング

スタートする短距離選手

オーバースピードトレーニングは、トップスピードの向上に効果的。オーバースピードトレーニングとは、専用器具を使って引っ張ってもらってたり、他の人にチューブで引っ張ってもらったりすることで、強制的に自分が持っている能力以上のスピード走るという練習。自分の力では出せないようなスピードを体感できるので神経系を刺激し、自分の最大出力を高めるのに効果的です。このスピードを体感した後に、加速走をすると、より効果的にトップスピードを引き上げることが出来ます。

オーバースピードトレーニングは専用の器具が必要だったり、チューブで引っ張ってもらう必要があったりと一人では中々取り組めない練習ですが、下り坂を走ることでも代用できます。しかし、下り坂を全力で走るのは体への負担が大きいため、それなりの経験者じゃないと難しいです。

⑩インターバル走

インターバル走をする短距離選手

  • 100mx5本
  • 150mx4本
  • 200mx3本

スピード維持力を鍛えるのに効果的な練習が「インターバル走」です。速いスピードで走る疾走とゆっくりと走る緩走を繰り返す練習で、400m走の耐乳酸トレーニングとして定番。また、100mや200mの選手も体力強化として月に1、2回程度インターバル走に取り組むと良いです。特に中学生や高校生で陸上初心者で体力がない人には、インターバル走が効果的。

インターバル走は基本的に1本1本は8~9割ほどの力で走り、1本1本の間は100mジョグやウォークでつなぐことが多いです。でも、1本1本を全力で走り、スピードを強化を大きな目的とする場合は、1本1本の合間は10分程度の休みを取って取り組むと良いです。

自分に合った練習メニューを取り入れて、自己ベストを目指して頑張ろう

フィニッシュ地点に置かれた陸上スパイク

短距離走の練習メニューはいろいろとありますが、基本的にはSD(スタートダッシュ)と加速走が効果的。もちろん、それらばかりの単調な練習をしているとタイムを大幅に伸ばすことは出来ないので、テンポ走や坂ダッシュ、ウェーブ走、セット走といった様々な練習を取り入れて体へ良い刺激を与えてあげましょう。そうすることで、きっと良いタイムを出せるようになります。何か明確(スタートが苦手、後半が弱い等)な課題がある選手は、そこに効果的な練習を重点的に取り組むというのも良いでしょう。是非、自分に合った練習メニューを取り入れて自己ベスト更新を狙っていきましょう。

    RUNNAL編集部

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