マラソンを走るランナーや陸上長距離走に取り組むランナー、そしてダイエットや健康のために走る人まで、全てのランナーに体幹を鍛えることをおすすめしたい。その理由は、体幹を鍛えることで、走るのに効率の良いフォームを長く維持出来るため。正しいフォームを長く維持することが出来れば、ランニング中の怪我を予防したり、ランニングパフォーマンスを高めるといった効果が期待出来ます。
この記事では、ランニング・マラソンをするランナーにおすすめしたい体幹トレーニングメニューをしています。また、長距離ランナーが体幹を鍛える目的や体幹を強化することで得られる効果についても詳しく紹介しています。体幹を鍛えて、もっともっとレベルアップしたいという人は是非参考にしてみてください。
目次
体幹とは
体幹とは、頭、手、足を除く胴体部分のこと。
ランニングにおいて腕を前後に振る動作、足を前へ後ろへと運ぶ動作が重要ですが、この手足の動きの起点となっているのが体幹です。体幹がなくては、走るという動作は出来ないので、ランナーにとって体幹はかなり重要です。もちろん、ランニングだけではなく、全てのスポーツ競技において体幹は、「走る」、「跳ぶ」、「投げる」といったあらゆる動作の起点となるため重要。現在は、その体幹の重要性が広く認知されているので、各スポーツ業界のトップ選手がこぞって体幹トレーニングを取り入れています。
また、体幹は走る動作の起点となるだけではなく、姿勢を安定させる役割もあります。体幹はお腹周りの筋肉、背中周りの筋肉、お尻周りの筋肉によって体を支えています。体幹があることで、左右にぶれずに真っすぐに立つことが出来ます。走る姿勢においても体幹が重要で、体幹が強いことで左右にブレない安定感のある走りが出来るようになります。
ランナーが体幹を鍛える目的
マラソンランナーや駅伝選手、陸上長距離選手が体幹を鍛える目的は、「正しいランニングフォームを長く維持するため」です。
見た目に大きい筋肉を鍛えることではない!
一般的な筋力トレーニングは、筋肉を大きくすることが目的です。大胸筋や上腕二頭筋、大腿四頭筋といった目に見えるところの筋肉を肥大化させ、見た目にカッコよく、瞬間的に大きなパワーを発揮する瞬発系筋肉を鍛えてきます。
一方、ランナーの場合はそういった大きい筋肉をつけると体重が増えてしまったり、腕振りや足運びの時に大きい筋肉が邪魔になってしまったり、長くスタミナを発揮できないといったデメリットがあります。ランナーが鍛えるのは、そういった外側から見える筋肉ではなく、持久力に関わる内側の筋肉です。
ランニングフォームを安定させるために体幹を鍛える
ランナーが体幹、内側の筋肉を鍛える目的は、「走るフォームを安定させるため」です。
長距離走ではレース終盤まで自分のフォームをどれだけ長く維持出来るかが重要。フォームが途中で乱れてしまうと、無駄なエネルギーを使ってしまうし、怪我のリスクも高まる。そういったことを防ぐために、ランナーは体幹を鍛えて正しいフォームを長く維持出来るようにする必要があるのです。
ランナーが体幹を鍛えることで得られる2つの効果
ランナーが体幹を鍛えるこで得られるメリットは大きく2つ。「怪我の予防」と「パフォーマンスの向上」です。
効果①怪我の予防
体幹を鍛えることでランニング中の怪我のリスクを抑えることが出来ます。
体幹が弱いと、お尻が下がったフォームで走ってしまいがち。お尻が下がった走り方だと、着地場所が体の重心よりも前になります。体の中心部より前で着地してしまうと、着地時の衝撃を前足の股関節、太もも、膝周り、ふくらはぎで吸収するため、足への負担が大きく怪我をするリスクが高くなります。膝が痛くなる、股関節を痛めた、ふくらはぎが張りやすいといった場合は体幹の弱さから、ランニング中の足への負担が大きくことが原因として考えられます。
一方、体幹が強いと骨盤を立たせた(お尻が入った)フォームで走ることが出来ます。良いフォームを身に着けると、体の中心部で着地出来るようになり、下半身ではなく、大きい筋肉群である体幹で着地時の衝撃を吸収出来ます。体幹で衝撃を吸収できるようになれば、走行中の足への負担が大きく減って、足を痛めてしまうリスクを軽減することが出来ます。
効果②パフォーマンスの向上
体幹を鍛えることは、ランニングパフォーマンスの向上にも効果的。
その理由は、体幹を使って走ることで無駄なエネルギーの消耗を防ぐことが出来るため。体幹が弱いと、足ばかりを使った足主導の走り方になりがち。太もも、膝周り、ふくらはぎを使って一生懸命走る形になるので、ただただ疲れるだけ。体幹に比べて下半身の筋肉は使われやすいので、足主導で走っていると長くスピードを維持することが出来ません。
一方、体幹は手足の筋肉に比べて大きく疲れにくいのが特徴。体幹は手足を動かす起点となるところ。その体幹を鍛えて、体幹主導の走り方をすれば無駄に手足に力を入れて一生懸命走る必要はなく、少ないエネルギーで長く走ることが出来ます。そのため、ハーフマラソンやフルマラソン、陸上長距離走など長距離ランナーのタイム向上に効果的。
ランニング・マラソンをする人におすすめの体幹トレーニングメニュー5選
トレーニングメニュー①プランク
- 左右両肘、つま先を床につけて、腕立て伏せの姿勢をとる
- かかとから肩まで一直線になっている姿勢をキープする
- お尻が落ちないように注意する
- この姿勢を30秒x2~3セット
おすすめの体幹トレーニングの一つ目は、体幹を鍛える筋トレの定番である「プランク」。
プランクは、腹横筋と腹直筋を中心に体幹全体を鍛えることが出来るトレーニングメニュー。特に、通常の腹筋では鍛えづらい「腹横筋」を効果的に鍛えることが出来るのが特徴。腹横筋は腹筋群の中で一番深い内側に存在する筋肉で、姿勢の安定性に欠かせない筋肉。
ランナーは腰高フォームで走ることが理想です。腰高フォームで走ることで、スムーズな足運びが出来ます。腰高フォームを維持して走るためには、胴体の安定性が重要。プランクで腹横筋を鍛えることで、胴体の安定性が増すことで、腰の入った腰高フォームを長く維持出来るようになります。
トレーニングメニュー②サイドプランク
- 身体を真っすぐにして横向きに寝る
- 下側の肘を床につけて、前腕と脚で体を支えるようにする
- 上側の手は上に伸ばしても、腰に置いても良い
- かかとから肩まで一直線の姿勢をキープする
- この姿勢を30秒x2~3セット
- 逆側も同じようにする
サイドプランクは腹横筋と腹斜筋を鍛えることが出来る、こちらも定番の体幹トレーニング。
腹斜筋は腹部の横にある筋肉で、腹横筋同様に姿勢の維持の働きをする筋肉。ランナーは体幹の安定性を高めるために、腹直筋、腹横筋、腹斜筋と腹部の筋肉をバランス良く鍛えることが大切です。
トレーニングメニュー③ダイアゴナル
- 四つん這いの姿勢をとる
- 両手は肩の真下にくるようにする
- 片腕と反対側の片足を上げる
- 上げて手の先から上げた脚のかかとまで真っすぐになるように姿勢をキープする
- この姿勢を10秒キープして反対側もする
- これを3セット
ランナーに人気がある体幹トレーニングと言えば「ダイアゴナル」。
ダイアゴナルは体幹全体を鍛えるとともにバランスを鍛えることが出来るトレーニング。ランニングは左右異なる手と足を交互に動かす運動。体幹が弱いと手を動かしたり、足を動かす時に体がふらついてしまうことがあります。特に疲れてくるとその傾向がはっきりと出てきます。ダイアゴナルは対角線上の四肢を動かす際の安定性を高める、バランス感覚を養うトレーニングで、ランナーであれば是非取り入れたい体幹トレーニングです。
トレーニングメニュー④バックレッグレイズ
- うつ伏せの姿勢をとる
- 両足を真っすぐ上げる
- 上げた状態で姿勢を10秒キープする
- これを3セット
バックレッグレイズは脊柱起立筋と大殿筋を鍛えることが出来るトレーニングメニュー。
脊柱起立筋は背中の内側にある筋肉で安定した姿勢を維持する上で欠かせない筋肉で、ランナーにとっては前傾姿勢を維持する上で欠かせないもの。また、大殿筋は着地時に地面からの衝撃を吸収する役割があり大殿筋を鍛えることで、足への負担を減らすことが出来ます。
筋肉を強化するトレーニングでは、腹筋を始め体の前ばかりの筋肉をトレーニングしがちですが、前だけではなく後ろの筋肉を鍛えることも重要です。
トレーニングメニュー⑤ヒップリフト
- 仰向けになり膝を立てる
- お尻を持ち上げる
- 膝頭とおへそが一直線上になるよう姿勢を10秒キープする
- これを3セット
ヒップリフトは、大殿筋とハムストリングという体の後ろの筋肉を鍛えることが出来るメニュー。
大殿筋とハムストリングは、走行中の着地の衝撃を吸収し、地面を押し出す際に効果を発揮する筋肉で、推進力を生み出すために欠かせないもの。また、ヒップリフトはそのほかに腹筋、背筋といった体幹も効果的に鍛えることが出来ます。
体幹を鍛えて効率の良いフォームで走ろう!
効率の良いフォームを身に着けるためには、体幹を鍛えることが大きな近道です。体幹を鍛えることで、骨盤が前傾した理想的なランニングフォームへと近づけることが出来るので、ランナーとして大きくレベルアップすることが出来ます。走行中に体のふらつきやブレを感じる方は、体幹を鍛えて安定したフォームを手に入れましょう。